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INFERNO[インフェルノ]開発STORY

バドミントンラケットの革新的フォルムを生み出した開発秘話。

2016年11月。これまでになかった革新的フォルムを有したバドミントンラケット「INFERNO」が発売された。ゴーセンはこれまでも2段階でしなるガブンシャフト搭載ラケット「ROOTS」やゴルフシャフトメーカーのシャフトを採用した「RYOGA」などユニークなラケット開発を行ってきた。これらの開発DNAを引き継いだゴーセンの新たなるチャレンジ。バドミントンラケットの企画開発責任者である岸本がモノづくりのスピリットを語る。

01開発構想篇

既成概念にとらわれない企画

ラケットスポーツ部 企画開発課 岸本 紘和(きしもと ひろかず)

ラケットスポーツ部 企画開発課
岸本 紘和(きしもと ひろかず)

学生時代にバドミントンの魅力に取りつかれ2005年株式会社ゴーセン入社。国内マーケットと海外マーケットの営業を経験した後、2013年よりラケット開発に携わる。その後、カスタムエッジ、グングニルシリーズの企画開発を手掛ける。

まるで有機物のような独特なフォルムを触りながら、インフェルノの企画開発責任者である岸本はこう話す。

「近年、ゴーセンは主として振り抜きの良さをウリに、高強度かつ軽量の薄型ラケットフレームの開発を行ってきました。これが現行モデルであるカスタムエッジシリーズやグングニルシリーズとして実を結んだわけですが、これらのノウハウをベースに、少し厚めのフレームで振り抜きの良い高強度ラケットが実現できないかと考えたのが開発のきっかけになります。その際のフレームの形状や大きさについてはこれまでのような制約をつけずに、最低限の範囲内、すなわち競技規則で決められたスペックであれば貪欲にトライしてみようと決めていました」

事実、過去20年もの間、ゴーセンバドミントンラケットのフレーム形状は大きく変わることは無かった。セオリー通りにフレームを厚く設計したものでラケット重量を軽量化するとカーボン断面厚が薄くなってしまい、強度も著しく低下してしまう。更に、近年では軽量ラケットでも適正テンションを超えて30ポンド前後で張り上げるプレイヤーも少なくない。これらの要件を満たす必要があることから、従来品ベースからフレーム形状を一新するには想像以上のハードルがあった。

「製品化における当社基準の強度試験で高いスコアを出すのは勿論のこと、何よりも実用した時に一般普及品と比較して明らかな優位性が感じられることが重要でした。まずは頭を空っぽにして、既成概念にとらわれず、厚いフレームで4U(重量83g)という条件で、打球時の剛性や張り上げ強度が確保できる方法はないか?という模索をしました」

製造現場との二人三脚

開発開始からしばらくの間、従来フレームの厚みやグロメットパターンや素材に手を加えた設計をサンプリングして強度データを取るといった地道な作業が続く。その中にはフレームをシャフトに上下逆さまに取り付けたかのような形状やフレーム上半分だけ極端に幅を厚くした設計もあった。

フレーム設計
左:フレーム形状を上下逆さに付けた設計。厚みをもたせつつ、スイートスポットの上部展開を狙った
右:フレーム幅をフレーム上半分だけ厚くし、ヘッドを利かせる設計

これまでとは違いフレーム形状における開発の制約がない中、様々な設計思想を試すことができたものの、岸本は改めて既成のフレーム形状の完成度の高さを思い知ることになる。試作の設計ではいずれも思うような強度、剛性アドバンテージが実現することは無く、ヒッティングテストでは従来品からのネガティブな違和感だけが残った。

最初の開発段階で行き詰まりかけてきたある日、岸本は協力工場の製造現場とミーティングする機会を持つ。これまではスペック通りにサンプル指示するような一方通行の開発が多かったため、新しい開発に関しては積極的に製造現場ならではの意見を取り入れてみようとしたのである。開発と製造の立場を超え、忌憚のない意見交換を重ねていく中で、一つのコンセプトモデルの3D図面が岸本の目に留まった。

コンセプトモデル
左:コンセプトモデルの断面イメージ
右:フレームが波を打っているかのような3D設計

「この設計図はフラッシュアイデアによるものでコンセプトモデルの域を出ませんでした。以前の開発スタンスであれば、確実に製品化できる別のフレームを検討していただろうと思います」

丁度その頃、年間2回行われる販売小売店向けの新製品発表スケジュールが差し迫っており、社内からも新製品開発に大きな進捗が見られないことを不安視する声が聞こえてきていた。そのようなプレッシャーの中、岸本は泰然自若の構えでこの開発を決意した。

「まずは社内事情や先入観抜きにこの形状の製品化を検討してみました。その結果、この波打った形状は様々な方向の応力に耐えることができることが分かりましたし、スイング時の空気抵抗も少ない。更に各ポジションのフレーム断面は私がリクエストする条件を満たすものでした。しかし、開発期間が従来よりも長期化することは明らかで、葛藤もありました。今回、コンセプトモデルから製品化に向けての開発を決断した最後の一押しは、もし自分が現役時代にこのラケットが発売されていたら、絶対使っていただろうという確信です。だからこそ、どんなことがあっても『これは絶対製品化させなければならない』といった強い使命感を抱いたのです」

こうして開発と製造現場との二人三脚で前代未聞のラケットの製品化に向けて動き出すことになる。

次回「プロトタイプ篇」は2017年11月28日(火)公開です。
お楽しみに!

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